2010年10月10日

ワクチン・ラグ

元厚生労働省医系技官の村重直子さんが書かれた「さらば厚労省~それでもあなたは役人に生命を預けますか?」を読みました。

医系技官とは医師の資格を持つ厚労省の職員のことを言います。
多くは診療経験のない「ペーパードクター」(この本によると)とのことですが、村重さんは日本・米国の病院で実際に診療した経験を持つ医系技官としては異色の存在です。

昨年の新型インフルエンザの騒動を通して、なぜあれほど必要なタイミングで新型対応のワクチンが供給不足になったのか、ドラッグ・ラグやワクチン・ラグが起きるのかとてもよくわかりました。

厚労省に勤務し医系技官という職業に就いていた村重先生自らが「医系技官不要」を唱えるところにこの本の説得力があると思います。

くららが受けたかったHib ワクチン、今でも供給不足だと聞きます。費用についても、世界100カ国以上で公費接種なのに、日本は任意(有料)です。
Hibの名前を目にするたびに、くららが天国に行って数カ月経過してから
「くららさんのワクチン入手しました」とクリニックから電話があった日のことを思い出します。

この本によれば、日本のワクチン行政は20年間停滞していたそうです。
小児の移植医療だけでなく、ワクチンも。

考えさせられます。


厚労省、国がとっている医療への施策は優れている面・恵まれている面もあるはず。
停滞や負の面だけでなく、国民皆保険を始めとして、この国に生まれて、この国で医療を受けられて恵まれている、幸せなんだ、と思える面をも探っていきたいと思います。

2 件のコメント:

  1. 本のご紹介、ありがとうございます。
    私がワクチンの問題を(簡単にですが)調べた時に知った側面には、医療訴訟がワクチンにも関与していました。
    国が国民のために、国のために、子ども達のために施行していたワクチンによって、副作用の後遺症による障害を巡って起こった裁判で国が負けたことによって、国が守りの姿勢に入ったと・・・。
    今の医療やワクチンなど全般的な問題では国民を守るはずのものが、国民から国を守るという本末転倒になっているのも悲しい現実ですね。
    この医療不信(きっと、政治に対する不信もあるのでしょう)…どうしたものでしょうか。

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  2. なみさん コメント有難うございます。

    「今の医療やワクチンなど全般的な問題では国民を守るはずのものが、国民から国を守る」
    本当に本末転倒です。私も付け焼刃の知識ですが、この本の内容からは、打ち出される諸々のの医療方針や施策、ワクチン供給プランなどが本来あるべき姿としての「国民を守るための施策」ではなく、「官僚個々の立場や縄張りを確保するための実施」になっている、という点に憤りを感じました。

    副作用による障害により国が負けて、その結果守りの姿勢に入った、という事例もあるのですね。私も調べてみます。

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