2010年3月17日

2月27日 小児臓器移植セミナーのこと

すごく長くなってしまいました。。。


「脳死の人」(森岡正博著)を読み終わってから、先日の小児移植セミナーの感想を併せて書こうと思っていたのですが、とても考えさせられる内容の本で、少し読んでは考えて、少し読んでは調べて、今日読み終わりました。

脳死について述べることは、色々な意見の方、立場の方がいますし、私はそれについて意見を述べられるほど多くの知識を有していません。

ただ、この本で最も印象に残っている箇所は、

「脳死の人」も「生活している人」と同様に「人」である。脳死の人を私たちの社会へ迎え入れる際に、家族・医師・看護師・移植関係者などが共有すべき最低限の礼儀作法を、私たちは時間をかけてでも作り上げ、次の世代に伝えてゆくべきではないか

という部分です。

臓器移植改正法施行を7月に控え、小児の移植医療が欧米と同レベルまで日本でも確立されていくことを願いますが、過去に行われてきた数々の「脳死の方」の尊厳を損なうようなことはあってはならない、そのために、知っておくべきこと、自分の出来ることを改めて考えてみようと思います。


そして、
2月27日土曜日に参加した小児臓器移植セミナー。
(http://urandemain.blogspot.com/2010/02/blog-post_27.html)

臓器移植改正法については、
「移植賛成か反対か、脳死の定義とは」がクローズアップされがちですが、何よりも「脳死を作らない体制」を整えることが重要、というお話が印象に強く残りました。

日本は新生児・未熟児の救命率は年々上がり、高度な医療が提供されていますが、一方で
成人に比べ小児ER(救急救命)が不整備で、例えば昨年のインフルエンザの流行についても、ERがあれば助かった命がたくさんある、特に2歳~6歳の救命率がかなり低い、とのことでした。

知らなかった。。


そしてまた、脳死とも関連しますが、ドナーのご家族についても十分に配慮できる体制が必要であり、特に日本はグリーフケア(遺族ケア)も未整備だそうです。


続いて実際の移植について。

ドナーの体から取り出した臓器にはそれぞれ保存時間の限界があるとのこと。この時間内にドナーの感染症検査、臓器の機能検査、病院の手術実施体制、レシピエントの体調確認等を終えて移植完了しないと、臓器は
変質し、機能不全になるそうです。

・心臓 4時間
・肺  6時間
・肝臓 24時間
・腎臓 48時間
(肝臓と腎臓のところは走り書きメモのため、間違っていたらどうしよう。。。)

だから、心臓や肺の移植の場合は、チャーター機が必要になるケースがあるのか、と納得しました。

心臓、肺、肝臓、腎臓、それぞれの移植のエキスパートの先生が現状や今後の具体的な課題などを話され、素人の私でもとてもわかりやすい内容でした。

特に心臓移植については配布された資料もとても丁寧でわかりやすく、移植対象となる先天性疾患名の中には無脾症の記載もありました。
海外では1歳未満で移植する子の63%が先天性疾患なのだそうです。


無知だったなぁと反省したのは、肝臓・腎臓については、既に生体移植で大人から子どもへの移植が日本でもされているんですね。知らなかったです。

心臓や肺のように、胸腔のサイズが同等でないと移植できない臓器もあれば、子どもから子どもへの移植よりも大人から子どもへの移植の方が、術後の状態が良い腎臓のような臓器もあること、大変勉強になりました。


またレシピエントコーディネータさんによる、移植を受けた後のレシピエントのケアも、学校生活や思春期、就職のタイミングなど長期に渡り行われるものであり、また必要なものですが、コーディネータさんの数が足りないという現状も初めて知るものでした。

そしてまた、被虐待児からの臓器提供を防止案。
15歳未満は親が同意すればドナーになれますが、虐待されていたかどうか、しっかりと見極めるための対策案を伺いしました。
もちろん虐待自体があってはならないことが前提の上で。


丸一日、私はくららと一緒にセミナーに参加していました。休憩の合間に、アッシュペンダントに触れてくららの写真を見ながら、内容について心の中でくららと話していました。

快く送り出してくれて、帰宅後はご飯も作ってくれていたパパとアトム君にも感謝の一日でした。

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